アンバランスな関係
「俺の容姿でまずい箇所ってないだろ?
抱くぶんには損をしないと思う
本当は俺がスミレを抱きたい
スミレを気持ちよくしてあげたいけど

スミレは光汰が好きなんだろ?
だから俺を抱いてよ」

「意味がわからないんだけど?」

『抱く』も『抱かれる』も
同じ行為にしか感じないけど

何か違う部分があるの?

「俺、冷酷な男じゃない
スミレを一番に思って
行動してる

だから俺を抱いてよ」

「酔ってる?」

「今日は一滴も飲んでない」

「じゃあ、何かあった?」

「あった
けど、言いたくない」

「私、瑛ちゃんに
気持ちがないよ
家族のような愛情はあるけど
恋愛感情はないと思う

これから芽生えるかも
しれなけど
今は無い

だから瑛ちゃんの裸は見たくない」

「俺、格好いいよ?」

「知っているよ
学校内の女子に人気があるじゃん

でも全裸は見たくない」

瑛ちゃんは起き上がると
上着を肩に引っ掛けて
ベランダに出て行った

ベッドに横になると

瑛ちゃんの温もりと
石鹸の香りが残っていた
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