新・イジメ.COM
☆☆☆

翌日、あたしたちは教室へは向かわずそのまま体育館へとやってきていた。


体育館を使うのは入学式以来だけれどその様子は様変わりしていた。


体育館のステージ中央から、後方の倉庫まで細い一本の綱が渡されている。


綱の高さは5メートルくらいで、その下には15センチほどの長さの剣山が引き詰められている状態なのだ。


「なにこれ……」


体育館へ足を踏み入れた瞬間、美文が呟いた。


あたしも同じ気持ちだった。


嫌な予感から背中に汗が流れて行くのを感じる。


体育館に集まって来た生徒たちは、体育館の入り口側半分に座らされている。


2,3年生がいないから、体育館が半分しか使えなくても十分の広さがった。


でも、この状況は普通じゃなかった。


ステージ上を確認してみると、綱に上れるように脚立が用意されている。


まさか、これから全員で綱渡りをさせられるとか……?


そんな思いがよぎった時、《集まった生徒たちはその場に座ってください》と、アナウンスが聞こえて来た。


みんなこのアナウンスには敏感になっているようで、ザワメキは消えて言う通りにしている。
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