洗脳学級
「あ、昌一! 便利なアプリがあるんだけど、ダウンロードしない?」


丁度机の横を通り過ぎて行こうとしていた昌一に、そう声をかけた。


「アプリ?」


「うん。お役立ちアプリって言うんだって。見てこのウサギ可愛いでしょ?」


画面に出ているウサギを昌一に見せたが、反応は薄い。


「可愛いかぁ?」


そう言って首をかしげている。


「会話もしてくれるんだよ」


あたしはそう言って、ウサギに話しかけてみた。


「おはよう」


「おはよう! 麗衣ちゃん!」


ウサギはピョンピョンと飛び跳ねて返事をする。


それを見ているだけで癒される気がする。


「あたしの名前を覚えてくれたの」


「へぇ……よかったな」


昌一は興味なさそうにそう言い、欠伸をしながら教室を出て行ってしまった。


「なによ、せっかく勧めてあげたのに」


あたしはプッと頬を膨らませてそう言ったのだった。
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