洗脳学級
「なんか、あっちもすごいね」


そう言ったのは佑里香だった。


佑里香の視線を先を追いかけてみると、沙月が席に座っていてその周りを男子生徒が取り囲むような状況が出来上がっていた。


「なにあれ。今までみんな沙月を遠くから見てるだけだったのに」


あたしが驚いてそう言うと、佑里香が「みんなアプリを使ってるからだよ」と、言って来た。


「そうそう。アプリで沙月へのアピール方法を質問してるんだよね」


美世はそう言って笑った。


「だからあれだけ群がってるんだ……」


アプリに質問したことを実行していれば、いつか沙月が振り向いてくれるかもしれない。


男子生徒たちはそう期待しているようだ。


「気持ちはわかるけどね。沙月みたいな美人が相手だとどう接していいかわからないじゃん? それをアプリが解決してくれるんだから、みんな頼っちゃうよね」


そう言ったのは意外に佑里香だった。


モジモジしながらも、アプリを肯定する言葉を並べている。


「どうしたの佑里香。何か心境の変化でもあった?」


瞬きをしながらそう聞くと、「弟が、喜んでくれたから」と、小さな声で言った。
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