ストーリー
悪夢
それから、明日香は何度もデートの邪魔をしてきた。


健太郎の顔が明日香に見えたり、お客さんの中に明日香が紛れていたり。


あたしはその度に強く頭を振り、自分の幻覚をかき消した。


「結構遊んだなぁ」


ジュースを片手にベンチに座り、健太郎がそう言った。



あたしもその隣に座って、冷たいオレンジジュースをひと口飲んだ。


乗り物には沢山乗ったけれど、明日香の顔が気になって心から楽しむことはできなかった。


ストレスが発散できると思っていたのに、逆効果だったかもしれない。


「疲れたか?」


心配してそう聞いてくる健太郎の顔を、まともに見ることもできなかった。


「ちょっとだけね」


そう返事をして空を見上げる。
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