COLOR~番外編集~
「…ごめんね。」

気持ちをぶつけてしまったことへの罪悪感と、まだ少し残っている怒りで女の顔は見れなかったけれど、とても申し訳なさそうにしているのはわかった。

「…ごめん。」

弱々しい声で、女はもう一度謝った。声が震えていた。

別に、そんな申し訳なくさせたいわけじゃない。そんな気持ちにさせたいわけじゃない。

「いや、俺も理不尽だったから…」

まだ顔は見れないけれど、元気を取り戻してほしくて俺も謝った。

「あのね、でもね。君の両親は君にたくさんの想いを込めたんだって思ったの。」

「想い?」

思わず、女の顔を見た。見てしまった。

「…っ。」

女は笑顔だった。向日葵が咲いたような笑顔だった。

不覚にも、その笑顔が素敵だと思ってしまった。

「咲くん。」




もうさっきまでの怒りなんてどこかに行ってしまっていて、俺は何故か女の顔から目が離せなかった。
ただ呆然と女の話を聞いていた。
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