愛のかたち
『咲貴、絶対にお父さんとお母さんにもまだ言わないで。』

知香ちゃんは弱々しい声で言った。

わたしはわかった。とだけ言って知香ちゃんの手を取った。


『知香ちゃん、何かあればすぐ言ってね。できることあればチカラになるから。』

そう言うと理沙ちゃんもわたしと知香ちゃんの手をまた上から握り

『わたしも!!』

と大泣きしながら言った。

理沙ちゃん・・・鼻水・・・

でも鼻水も涙も流した理沙ちゃんはいい顔してた気がする。



知香ちゃんはもっと大泣きしながらありがとう。と何度も言っていた。

そして改めて思った。

2人はやっぱり自慢の姉だと。



相手のことをまず考える知香ちゃん。

知香ちゃんのことを考えすぎて大泣きしてしまう理沙ちゃん。

そんな2人が改めて大好きだと思った。



そして知香ちゃんの彼氏が今、のうのうと奥さんと生活をしていると思うと無性に腹が立った。



あまりにイライラしたわたしはこの状態を変えようと思い、話題を変えてみた。


『あのね、わたしバイト先の原口さんと付き合うことになったから。』

とボソッと言った。

その瞬間、弱々しかった知香ちゃんの目つき、大泣きしていた理沙ちゃんの目つきが変わった。



2人はさすが姉妹、同時に

『はぁ!?』

と大声で言った。

わたしはそれに笑いながら

『いいでしょ、イケメンの彼氏。しかもバリ優しいよ。』

憎たらしく言うと理沙ちゃんがその瞬間わたしの首を軽く絞めながらわたしの頭を何度も頭を振り

『ずるい、ずるい!!純と交換して!!』

と笑いながら言っていた。


純くん・・かわいそ。
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