愛のかたち
バンッ。


夕方くらいに勢いよくドアが開いた。


『うぃ~っす。咲貴。何へこんでんだよ!!!』


こんなウザイほどハイテンションで登場したのは拓海だった。


『なによ。何の用??』

『お前に用があって教室行ったら休んでるって友美ちゃんだっけ?あの子から聞いたから家来たら知香がへこんでるって言うからさ。てかお前、ブッサイクな顔!!』


拓海は笑いながら下の冷蔵庫から持ってきたオレンジジュースの缶を開けてわたしに手渡してきた。


『何も飲んでないんだろ。お前唇カサカサなってんぞ。』


その言葉にわたしはオレンジジュースを受け取り、唇を濡らした。


『ビタミンだ、ビタミン。』


ウザイ言葉、ウザイ明るさだけどなぜか心地よさも少し感じた。


『オレンジジュース、ビタミンって言うけどやっぱ酸っぱい。』


『お前の方が酸っぱい。なにへこんでんだよ。お前らしくもない。』


拓海はあぐらをかいて座り、自分の分の缶を開けてグイッと飲んだ。


『俺のほうがへこんでるっつーの。県予選で負けてもう引退なっちまったし、好きな女からは振られたばっかだし。』


黙って聞いているわたしに


『俺、理沙が好きだったんだ。小さい頃から。』


拓海は真剣な顔をして何故このタイミングで!?ってくらいの話をわたしにしてきた。


『あいつにモテるとこ見せたくて色んな女と付き合ったけどダメだった。理沙じゃなきゃダメらしく。だからフラれようと思って告った。そしたらあいつ、何て言ったと思う??』

わたしは首を横にふった。

わからないとばかりに。
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