愛のかたち
『お前、贅沢な奴だな。2人も好きな奴いるって・・・。』

わたしの頭をパコパコ叩きながら拓海は言った。


あまりのウザさにわたしを叩く手を何度も払いのけた。


『でも、ま、あれだ。よかったんじゃねーか??相手もこれで楽にはなるだろうし。不安な想いさせすぎなんだよ、お前は!!で、これからどうすんの??あと1人と付き合うのか??』


拓海の質問の答えはもうとっくに決まっていた。


『付き合うわけないじゃん。孝浩くんのことまだ好きなのに。バカだね、拓海は。』


笑って言うわたしに拓海はそのときどこかホッとしたような顔をした。


『ちょっとは元気になったか??』


『拓海・・・。ありがとう。元気付けてくれて・・。』


拓海がウザイくらい明るかったのはきっとへこんでる空気を一蹴させるためだったんだ。


『いいってことよ。じゃ、俺帰るけど、さっきの話は誰にも言うなよ!!言ったらお前を・・どうするかは考えとく。』


そう言ってドアを出て行った。


拓海が去ったドアを見つめてわたしは小さくまた、ありがとうと呟いた。




その数時間後、理沙ちゃんが帰ってきた声がしたのでわたしは下に降りた。



そして、話した。


孝浩くんと別れたこと、俊くんへの気持ち。



知香ちゃんも理沙ちゃんも食べている途中だったけど箸を置いて真剣に聞いてくれた。




『咲貴、辛かったね。気持ちに正直に生きすぎたんだよね。あんたは悪くないよ。しょうがないんだよ。』


知香ちゃんはわたしを抱きしめながら言った。


不覚にもまた涙が流れた。


『もったいないけど、相手のことを考えて別れたあんたは偉い!!さすが我が妹!!!』


理沙ちゃんがその後言って横からまたわたしを抱きしめた。


家族って暖かいな。

やっぱり知香ちゃんと理沙ちゃん、そして拓海は何があってもわたしの味方なんだな。


そう思うと嬉しかった。
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