愛のかたち
『バイトが決まらないの・・・』


泣きそうな声でわたしは休み時間に友美に言っていた。


バイトをしなきゃクリスマスの時にプレゼントを買うお金がない・・・。

あげたい物は決まってたけどそれを買うにはどうしても足りない。


『選びすぎだって。求人はそたくさんあるのに何で決まらないわけ~??』


バカにするかのように友美は言い放った。


そう、わたしは前のバイト先が自給も時間帯も選べて楽だったため比べすぎていた。

ファーストフードや、ファミレスは変な客が来るだろうからハナからパス。


そうするとお弁当屋だったりコンビニだったりと高校生のバイト先は限られてしまう。

コンビニだって変な客多いしね。


『いいとこがないのっ!!!』


大声で言っていると近くの席に座っている男、佐々木が声を掛けてきた。


『新垣さん、バイト探してるの??』

佐々木と話すなんて初めてのこと。

この話題によっぽど食いつきたかったんだろう。


『そうなんだけど見つからないの・・。』

困ったように言うと佐々木は目を見開いて

『俺のバイト先、まじ人足りなくって。イタリアンの店のホールなんだけど。カプリってとこ。知ってる?』


佐々木、意外といいところでバイトしてるのね。

カプリという店は街近辺だけどかなり有名な大きなお店。

見るからに高級チックで行った事はなかったりする・・・。


高級なお店だし客層も悪い人はそんなにいなさそう。


『知ってる?って聞かれても・・・。知らない人あんまりいないと思うよ・・。』


友美がボソッと呟くように言った。

『まぁ、有名だよね。』

ちょっと照れながら佐々木が言った。


『佐々木くん、そこわたしに紹介してくれるの??』

『喜んで。人手足りないし、自給は950円で悪くないし。』


その言葉にわたしはすぐ食いついて即答で


『やるっ!!!』

って言った。
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