愛のかたち
家に着くと俊はエンジンも切らず、メットも取らず、さっさと降りて帰れという雰囲気を出していた。


わたしはメットを外して渡すと

『じゃ。』


と言って帰ろうとした。


『待ってよ。怒ってる??』


そう言うと俊はエンジンを切った。


『怒ってないよ。』


『怒ってるよ。』


『俺の怒る理由は何??』


『わたしが孝浩くんって呼んだから??』


『違ーう。』


『言い直したから??』


『違ーう。』


子どもみたいに違うと言われ続けた。

でもだんだん表情が柔らかくなってきてる。


『何??』


『俺にもわかんない。ま、俺もよくわかんない。とりあえず怒ってないから。また明日。』

そう言ってわたしの髪をまたクシャッとしてエンジンをつけた。


『俊。』

呼ぶとこっちを見たのでわたしはすかさずキスをした。


唇を離すと驚いた表情をしている。


『また明日ね。』


笑顔でそう言うと俊も笑顔を見せてバイクで走り去った。


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