愛のかたち
17.約束のもの
『咲貴の新しい彼氏はおせっかいな人だね。』


自分の髪をクシャッと触りながら笑顔でわたしに寄ってきた俊。


どうしよう、動けない。

俊、髪短くしたんだね。


黒髪にツンツンとした髪型も似合ってるよ。


『何度シカトしたってメールしてくるんだ。近状聞いてきたり、日本国籍の取得の仕方とかメールしてきたり。そして借りてた狂犬をお返ししたいって言うんだ。』


き、狂犬!?

わたしのこと!?

お返しした・・い??


『どうも、国籍が日本になりました尾上俊です。お迎えにあがりました。』


そのとき、友美がわたしの背中を押した。

友美を見ると泣きながら微笑んでる。


『帰化したけど元は韓国。咲貴の家族は反対するかもしれない。俺の親だって。でも俺はもう逃げない。絶対に諦めない。死ぬほど後悔したからね。絶対にどうにかするから・・・咲貴、俺のとこに帰ってきて。』


『俊の・・バカ。バカバカ大バカ!!!』


『バカ?俺が??』


『最低だよ、もう。わたしは孝浩くんをまた裏切らなきゃいけないじゃない。』


『原口さんから言ったんだよ。裏切りじゃない。』


そう言ってわたしの首元に手をまわし強く抱き寄せられた。


久しぶりに感じる俊の体温、香り。


香水、変えてないんだね。


『俊くん?』


後ろから友美が声を掛けた。


俊はわたしを離し、友美の方を見た瞬間、友美が思いっきり平手で俊の頬を叩いた。

それはそれはすごい音がした。


『もう咲貴を悲しませたらこんなんじゃすまされないんだからね。』


そう言って友美はわたしに微笑み、帰って行った。
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