愛のかたち
この話を切り出すと原口さんはタバコをつけて話しだした。

一瞬、タバコをつけるライターで原口さんの顔が灯る。


『沢村さんのこと。大丈夫?なんか前々から思ってたけど冷たくあしらわれてるような気がして。俺、あの人の気持ちには何となくだけど気付いてるからさ。昨日見られてすっごい怒った顔してたし。俺から何か言おうか??』



ことことか。

俊くんが来てたからそのことかと思ったけどそんなわけないもんね。

気にかけてくれてるんだな。



ちょっとだけ嬉しくなった。

やっぱり原口さんは優しい。


『沢村さんは昔からあんな感じなんでもう慣れてます。だから大丈夫です。お気遣い、ありがとうございます。』

わたしは笑顔で言った。

『大丈夫ならいいけど、無理はしないようにね。新垣ちゃんにだけだもんね、あんな冷たいのって。』

深刻そうな顔をまだしている原口さんの気を楽にさせるために

『ほんと大丈夫ですって。沢村さん、いいところもあるって知ってるし!!わたしそんな辛いとか思ったことないからほんと気にしなくていいですよ。』

また笑いながら言った。



原口さんはそんなわたしを真顔でまじまじと見て

『新垣ちゃんはほんっとにいい子だね。沢村さんよりよっぽど精神年齢高いよ。』

と言った。


そして原口さんはタバコを消した。

『そんなことないです。あの、わたしあの返事のこと。すごい伸ばしててごめんなさい。近日中には・・。』


そう言うと気にしないでと笑ってくれた。

その後、運ばれてきたパスタを食べてここは原口さんが出してくれた。



そして車でまたバイト先まで送ってくれた。

原付で帰りながら考えていた。

年上、そして車持ち・・。

性格だって抜群。

やっぱりいいな、原口さん。かっこいいし。

原口さんと付き合ってみようかな・・。



そうわたしは思い始めていた。

そしてわたしの夏休みは終わった。
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