2つの声 〜トドケ、ひびけ〜

夕 side

僕が死んでから5年の月日がたった。
交通事故にあって、病院に行き、最後に君に言った言葉。
「大好きだよ、麗奈… 傍にいてやれなくてごめん。」
あの言葉が、僕の精一杯だった。
本当はもっと感謝を伝えたかった…
もっと一緒に傍にいて、君を幸せにしてあげたかった…

この5年間、君のことを見守り続けた。
それが死んだ僕に唯一できることだから。

僕のせいで泣いてる君
生きることを決意した君
友達とたくさん遊んで、笑ってる君
新しく彼氏ができて喜んでる君
結婚して子供を産んだ君

そして、、、

毎年…僕のお墓に来て手を合わせる君。

その姿を見る度に嬉しい反面、悔しい思いでいっぱいになった。
どうして、僕は君の隣にいないんだろうって
どうして、どうしてって……

でも、君の幸せな姿を見ることが嬉しくて、そんなことすぐにどうでもよくなってしまう。
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