わたしの願い

「おばさん、いいの?」

帰り道俺は気になってきいてみた。

「なにが?」

「俺就職じゃなくて進学したら、またお金とかかかっちゃうのに・・」

自分の中では決めていたけれど、やっぱりだめといわれたら考えるつもりだった。

「そんなこと心配してたの?あのね、龍希。わたしはねあなたを産んだわけじゃないけど、でももう家族なのよ。親同然なの。お金なんて気にしなくていいから。龍希の好きなように生きて」

「おばさん、ありがとう」

俺は恵まれてる。

本当の両親には愛されてこなくて、見放されて、最終的にひとりになってしまったけれど、こうなったことで出会えた人もたくさんいるから、人生って不思議だ。


「今日の晩御飯は龍希の好きなハンバーグだからね」

「やったね」

働きにでたら絶対におばさんに楽をさせてあげよう。

自分がしてもらったことを返せるように、そしておばさんにも好きなことをやってほしい。

「じゃあ買い物手伝ってくれる?」

「もちろん」

そのためにまずは自分ができることをしっかりやっていこうと思う。

< 222 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop