わたしの願い
文化祭

愛side




あれから龍希くんは無事退院し、そのまま2学期を迎えた。

「龍希くん、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ、ほら」

そういって腕と足をぶんぶん動かす。

本当になにもなくてよかった。

あのまま龍希くんが死んでしまっていたらと思うと、それだけでぞっとする。

「ああ、でも学校とかぶらなくてよかったような、悪かったような・・」

「よかったよ。だって大事な時期だもん」

「まあそうなんだけどさ、ちょっとさぼってみたかったななんて」

「たしかにそれもそうだね」

「え?」

「ん?」

「いや愛がめずらしいなって思って」

たしかにそうかもしれない。
今までのわたしだったら学校をさぼるっていう発想さえなかった。

ひたすら勉強をしてみんなに認めてもらうのに必死で。

「たまにはいいかなって」

「そっか。じゃあ今日このままさぼる?っていいたいところだけど・・・それはやっぱり受験が終わってからにしよ」

でも龍希くんもなんだかんだ真面目だから。

「うん、そうしよう」

受験が終わったらめいいっぱい遊びにいける。
それまでの辛抱だと思って頑張ろう。
< 249 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop