わたしの願い

「龍希ー、お前事故たって大丈夫かよ!」

教室に入ると昴くんがものすごい勢いで駆け寄ってきた。

「うん、たいしたことないし」

「いやいや、3日間くらい目覚まさなかったって聞いたぞ!?」

「ああ、でもうん。いまはぴんぴんしてるよ」

「お前不死身かよ」

相変わらず龍希くんと昴くんの会話は聞いてて面白い。

昴くんがお笑い芸人のように手もつけて華麗なつっこみをいれるからかな。


そのあともクラスの子が教室に入ってくるたびに龍希くんに安否確認をしていた。

その光景を今までのわたしだったら自分とは正反対だと決めつけて、ただ遠くから見ているだけだった。

「藍沢さんもよかったね」

「愛ちゃん泣かせないでよね」

でも今は違う。

こうやってまわりの人たちがわたしのことを会話にいれてくれる。

話しかけてくれて、笑いかけてくれて。

とても幸せ者だと思う。
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