新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
引きずられそうになる足をなんとか留まらせたいのに、思うような踏ん張りがきかない。
こんなときに限って、周囲の人影もなかった。
あまりの恐怖にそれ以上抵抗の言葉も出ず、ポロリと目から涙がこぼれた、そのとき。
「礼!!」
どこからか、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
かと思えば急に身体が傾き、肩が何かにぶつかる。
男も驚いたのか、私の腕を掴んでいた手が離れた。
反射的に自分がぶつかったものを振り返った私は、そこにいた人物を確認して目を見開く。
「さ、つき」
どうしていつも、この人は──来て欲しくてたまらないときに、現れてくれるのだろう。
彼は私の方を見てはいなかった。
ただひたすら、先ほどまで私を拘束していた目の前の男のことを、憤りの表情で睨みつけている。
「おまえ……あのときの」
そう漏らしたのは、男の方だ。
つぶやきが聞こえたらしい皐月くんが、唸るように口を開く。
「西田さん、でしたよね。以前お会いした際に、金輪際彼女には近づかないでくれとお願いしたはずですが。これはどういうことですか」
言葉遣いは丁寧なものだけれど、皐月くんの声は低く淡々としていて怒りを抑えきれていないのがわかる。
質問というより、まるで尋問のようだ。それを受ける男もまた、憎々しげに舌打ちした。
こんなときに限って、周囲の人影もなかった。
あまりの恐怖にそれ以上抵抗の言葉も出ず、ポロリと目から涙がこぼれた、そのとき。
「礼!!」
どこからか、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
かと思えば急に身体が傾き、肩が何かにぶつかる。
男も驚いたのか、私の腕を掴んでいた手が離れた。
反射的に自分がぶつかったものを振り返った私は、そこにいた人物を確認して目を見開く。
「さ、つき」
どうしていつも、この人は──来て欲しくてたまらないときに、現れてくれるのだろう。
彼は私の方を見てはいなかった。
ただひたすら、先ほどまで私を拘束していた目の前の男のことを、憤りの表情で睨みつけている。
「おまえ……あのときの」
そう漏らしたのは、男の方だ。
つぶやきが聞こえたらしい皐月くんが、唸るように口を開く。
「西田さん、でしたよね。以前お会いした際に、金輪際彼女には近づかないでくれとお願いしたはずですが。これはどういうことですか」
言葉遣いは丁寧なものだけれど、皐月くんの声は低く淡々としていて怒りを抑えきれていないのがわかる。
質問というより、まるで尋問のようだ。それを受ける男もまた、憎々しげに舌打ちした。