新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
でもね、その考えは甘かったんだ。

だって私、皐月くんと一緒に過ごすうちに、前よりもっと、どんどんあなたのことを好きになってたから。

その“好き”が大きくなるたび、皐月くんにも同じように私のことを好きになって欲しくなっちゃって、どんどんつらくなった。

私、自分で考えてた以上に、欲張りだったみたい。

こんな私が奥さん役で、本当にごめんね、皐月くん。

もっと別の理由を作って離婚のお願いをするかどうか、たくさん迷いました。

でも、最初に嘘をついてしまったのだから、終わりは嘘のない自分でいたかった。これは、私のエゴです。

それにきっと、この理由を聞けば、皐月くんも納得してくれたんじゃないかな。自分に一方的な好意を持ってる人間と、これ以上一緒になんて住めないよね。

同封している離婚届が書けたら、連絡ください。私が取りに来るか、郵送してもらうことになるか、改めて考えなきゃ。

長くなってしまったけど、これが私の懺悔です。
本当に、何回ごめんなさいを言っても足りないよね。

いつか、皐月くんが心から安らいだ平穏な日々を過ごせるように、祈っています。

1年間ありがとう。『越智 礼』でいられた私は、幸せでした。


礼より】
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