新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
「いいんですか?」

「うん。だからほら、愛しの旦那サマ誘って行っておいで~?」



ニヤリと笑って、古都音さんが私の右肩をシャープペンシルでつつく。

私をからかう彼女のこんな言い回しには、もうすっかり慣れてしまった。

古都音さんがおもしろがる反応はするまいと、視線は自分の手もとに落としつつポツリとつぶやく。



「花火……誘って、みようかなあ」



浴衣、私持ってるのかな。家に帰ったら、探してみよう。

皐月くんは、一緒に行ってくれるだろうか。別にわざわざ浴衣で揃えるまではしなくてもいいから、用事、ないといいなあ……。



「はーっ、ホワホワした色ボケオーラ振りまいちゃって! もうっ、彼氏ナシの身に染みるったら!」

「えっ、そ、そんなこと……なんか、すみません」



突然それまでより大きな声で喚いた古都音さんに驚き、ビクッと身体を震わせる。

え、私、皐月くんのことを考えてるときそんなにわかりやすく浮き足立ってるの?

それってなんだかすごく、恥ずかしいかも……。

反射的に口を出た謝罪から少し遅れ、頬を熱くさせた。

押し黙った私を見て、なぜか古都音さんが苦笑を浮かべる。
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