私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!
『温泉なんて久しぶり過ぎて…いつ入ったか覚えてない』


朋也さんが言った。


『お父さんと温泉とかは…』


『ちょっと…無理だったな。父さんは忙し過ぎた。まあ、子どもの頃、友達と銭湯に何度か行った覚えはある』


『社長は、やっぱり忙しいよね。うちも、社長じゃないけど、役員だったから、全然家にいなかったよ。母親も働いてたし。だから、旅行とかも無かったな…』


一弥先輩、そうだったんだ。


知らなかった。


『今日は3人で、いっぱい食べていっぱい満喫したいです!って、一応、仕事でしたよね。すみません』


『恭香ちゃん可愛いね。そういう元気なとこ、見てて気持ちいい。うん、そうだね、本当にいっぱい食べて満喫しよう』


一弥先輩、そんな、可愛いとか、アッサリ簡単に言わないで…


朋也さんは…黙ってる。


そのうち、私達は、目的の旅館に着いた。


立派な老舗の旅館。


緑もあって、静かな佇まいだ。
< 171 / 235 >

この作品をシェア

pagetop