私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!
2時間ほどして、2人はまたタクシーに乗り込んだ。


『恭香、フラフラじゃないか』


不安がよぎる。


俺は、絶対に二人を見失わないように、神経を集中させてその車を追った。


タクシーは、人気の少ない場所に入って行く。


おかしい、帰り道はこっちじゃない、ここはホテル街。


石川の魂胆が見えた。


『あいつ…』


タクシーが止まり、石川が恭香を抱きかかえ、ホテルに入って行く。


俺も、車を止めて追いかけた。


そうだ、カメラ…


証拠を押さえなければ…


とっさにそう思った。


だが、カメラは持ってない…


いや、携帯は…


良かった…慌てていたが、携帯はポケットに入っていた。


これで…


カメラモードに切り替え、俺は部屋に入る二人のすぐ後ろに近づいた。


本当は、今すぐにでも恭香を助けたかったが、石川の悪事を押さえなければ、シラを切られたら終わりだ…


そんな最低なことはさせない。


石川は、ドアを開けて、完全に閉まるのを確認せずに、恭香を支えながら中に入っていった。
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