好きになるには理由があります



 えーと、入金伝票は、と。

 深月が備品伝票を見ながら、入金伝票を手に取り、確認していると、誰かが入ってきて、扉を閉めた。

 また陽太かと身構えたが違った。

 さっきの女だった。

「残念ね。
 支社長じゃないわよ。

 支社長、もう戻っていったから」
と女は言う。

「ねえ、さっきのは、なに?」
と彼女は言ってくる。

「あんた支社長秘書になるの?
 なんか実績あげたの?

 総務なんて、備品の手配したり、代表電話を取ったり、社内を巡ったり、見学の人の案内をしたり、社内報作ったり、イベントの手伝いしたり、秘書や人事の仕事に駆り出されたりするだけじゃないの」

 女はそこで少し考え、

「……結構用事あるわね」
と言ってくる。

「はあ。
 社内中巡っているので、この会社入って痩せました」

 しかも、此処は広い敷地内に工場もあり、建物が点在しているので、余計に大変だ。

 おかげで自転車が大活躍だが。
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