好きになるには理由があります
 じゃあ、俺は割り込めないじゃないか、と思ったとき、深月が、

「あ、ほら、支社長。
 猫ですよ」
と拝殿の方を指差した。

 回廊の下の、陽が差し込んでいる場所にでっぷりとした三毛っぽい猫が居た。

 いわゆる、ぶさかわという奴だろうか、と思って眺める。

 猫のスタンプが好きだと言ったから、こいつの中では、俺は猫好きになっているのだろうか?

 いや、嫌いではないのだが。

 俺が好きなのは、スタンプの猫じゃなくて。

 スタンプの猫を送ってくるお前なんだが、
と思っていたが、言えずに、一緒にそこにしゃがんで社殿の下を覗いていた。
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