好きになるには理由があります



 陽太が総務の前を通ったとき、何故か深月は、ほぼカウンターに上半身を乗せるくらいの感じで、女子社員と話していた。

 なにをやってるんだ、仕事しろ。

 自分がちょっと遠回りして、総務の前を通ったことは棚に上げ、陽太は思う。

 軽く睨んでやると、こちらに気づき、慌ててカウンターから離れた深月が、
「おっ、お疲れ様でーす」
と微笑みかけてきた。

 ……二人きりのときもそのくらい笑えよ、と思いながら、陽太は軽く頭を下げ返し、総務の前を通り抜ける。



< 34 / 511 >

この作品をシェア

pagetop