好きになるには理由があります
 やばい、怒られるっ、と思ったが、電話がつながった瞬間、母、条子(ながこ)は、
「あんた、おじいちゃんが入院したのよ。
 拝殿の階段から落ちて骨折っ」
と叫び出した。

 ええーっ、と深月は声を上げる。

「大丈夫なのっ?」

「足以外、ピンピンしてるけど、これは踊れないわねえ。
 誰か今から代わりの人探さないと」
と条子は言う。

 そこで条子はスピーカーに切り替えたようだ。

「ほら、おじいちゃん、深月が心配してるわよっ」
と言う声が少し遠くなる。

「深月ーっ。
 わしは大丈夫じゃーっ」
と祖父、万蔵(まんぞう)の声が聞こえてきた。

 いつも通りのハリのある声に、ホッとする。
< 39 / 511 >

この作品をシェア

pagetop