好きになるには理由があります
 かっ、帰ってもいいですかっ?

 もう帰ってもいいですかっ?

 泣いて帰ってもいいですかっ?

 まだなにもされてませんけどっ、と思っている深月の顔を見て、ぷっと陽太が笑った。

「よし、とりあえず、抱っこしててやろう」
と陽太は深月を横たえ、あのときしてくれたみたいに、背中をぽんぽんと叩いてくれる。

 自分を見つめる陽太の瞳に、深月はなんだか泣きそうになり、陽太の胸にしがみついていた。

「支社長~っ。
 支社長が好きです。

 そんな顔してるときの支社長が好きです。

 ただ、一晩中、背中をぽんぽんしてくれてた支社長が好きですっ」

「……陽太」
と言い直しながら陽太は苦笑する。

「それ、嬉しいけど。
 手を出すなと言ってるようにも聞こえるんだが。

 ま、さすがに今日逃げ出したら、俺じゃなくてお前が鬼だよな」
と陽太は言い、容赦無く、だが、あまり激しくなく、深月を労わるように口づけてきた。
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