好きになるには理由があります
「いいじゃないのよっ。
 人妻だろうと、イケメンを近くで眺める権利はあるはずよっ。

 っていうか、あんたも彼氏居るじゃないのっ」
と二人は揉め始める。

 清春はそこは軽くスルーして、ちょうどやってきた則雄に訊いてみた。

「ノリさん、深月知らないですか?」

「ああ、遅れてくるみたいだぞ。
 そうそう」
と則雄はにんまり笑い、

「舞い手、見つかりそうだぞ、清ちゃん」
と言ってくる。

「そうなんですか?」
と訊くと、則雄は、

「深月の彼氏がやってくれそうだった」
と言う。

 ……深月の彼氏、とは誰だ、と思う清春の前で、まだ律子と万里は、

「万里っ、あんた、もともと茶髪のくせに、髪黒くしてんの、清春の神社に嫁に行くつもりだったからでしょ?
 もうやめなさいよっ」

「いいじゃないのよ。
 似合うんだからっ」
と揉めていたのだが、

「深月の彼氏ってなにっ?」
と二人同時に身を乗り出してきた。

 こういうときは息が合ってるな、とつい思ってしまう。
< 55 / 511 >

この作品をシェア

pagetop