都の剣〜千年越しの初恋〜
その水月の言葉に、幸子と春太郎が泣き始め、みんなの表情は一段と暗くなった。

「イザナギ様からは何て言われてるの?」

朧の質問に、ひとめが「二人が思い出し始めたら報告しろってさ」と緊張しながら答える。

「これは、思い出し始めているってことなの?」

つららの言葉に、嵐猫は首をひねる。沙月と葉月はただの不思議な夢だと思い込んでいるからだ。

「それに関しては微妙なところだね…」

金次郎が、黙っている嵐猫の代わりに言った。

「どちらにしても、あの二人が気づくのは時間の問題なんじゃないかい?とりあえず報告した方がいいんじゃ…」

キングの言葉に、「それもそうだな」と火影が頷く。

「じゃあ、誰が報告しに行くですか?」

春太郎の問いに、妖怪たちは誰が報告に行くのか話し合い始めた。

「幸子と春太郎は、幸運を呼ぶためにここにいないとダメだよね」とつらら。

「嵐猫だって、みんなをまとめるのに必要だぜ!」と火影。
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