都の剣〜千年越しの初恋〜
「じゃあ僕が行くよ。僕は夜にしか活動できないし…」

そう朧が手をあげる。すると、「なら私も!」と桜姫も出をあげた。

「私も、戦闘ではあまり役に立てないから報告に行くわ!」

「頼みますよ!どうかお気をつけて…」

お雪が心配げな目を二人に向ける。他の妖怪たちもまっすぐな目で二人を見つめた。

「任せて!」

二人はそう言って荷物をまとめ、神社を飛び出していく。

沙月と葉月に内緒の会議は、こうして終わった。



沙月と葉月は、学校ではみんなに付き合っているということがバレないように、あまり話したりはしない。

昼休みの今でも、二人は同じ教室にいるのに、交わることはしない。沙月は友達数名と話し、葉月は何やら難しそうな本を読んでいる。

「そういえば、もうすぐ夏休みじゃん!みんなで海とか行こうよ〜」

友達の提案に、沙月は「いいね!」と笑う。

「来年はきっと、夏休みはあってないようなものだしね〜」

沙月は、高校を卒業しても神社の巫女をしたいと考えている。しかし、みんなは就職か進学で大忙しの時期だ。
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