都の剣〜千年越しの初恋〜
サシャはそっと自分の頰に手を当てる。家ではいつも仮面のような笑顔しか作れない。こんな風に笑うのは、自由になれた時だけ…。

「ツキヤのおかげだな、きっと」

サシャはそう言ってあんみつをまた食べる。ツキヤは顔を赤くしたまま、サシャを見つめた。サシャもそれに気づき、ツキヤを見つめる。

「……ツキヤは、生きていた人だと言ったな……」

サシャは、朝ツキヤに言われた言葉を思い返す。ツキヤは「はい」と静かに言った。

「……いつか、生まれ変わるのか」

サシャは憂いを帯びた笑みを見せる。気づいてはいたが、サシャとツキヤの時間は最初から違ったのだ。

「……それは、どういう……」

首を傾げるツキヤに、サシャは「また今度話す」と言ってあんみつを食べる。

サシャの胸の中に、悲しみが渦巻いていた……。



目を覚ますと、沙月の目からは涙がこぼれていた。なぜ、こんなにも悲しいのだろう。沙月はこぼれていく涙を拭うが、悲しみはあふれるばかりだ。
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