クール王子ととろける溺甘♡同居

「昔からそうだよな、小山って」 

「えっ……」

「普段は人の顔色ばっか伺ってビクビクしてるくせに、人を助けるときは人目なんて気にしないで行動する」

「そ、そうかな……」

二見くんにとって私はただの遊び道具でしかないと思ってた。
だから、今聞こえてる彼の声が私の知ってる彼じゃないみたいでどうしていいかわからない。

「一年の頃、クラスでハブられてる女子に、小山がハンカチ渡してるの見たんだ」

「えっ……」

二見くんの口から思っても見なかったセリフが飛び出してきて、瞬きするのを忘れそうになりながら彼のことを見つめる。

なんで、二見くんがそんなこと知っているんだろうか。

「明らかに他のクラスにもわかるようなあからさまないじめだったし、別に小山とあいつ仲が良かったわけじゃなかっただろ。小山だってきっと何もかも気付いてたはずなのに」

誰にも見られていないと思っていたことを、嫌いな人の口から語られて。

あの頃の記憶が蘇る。
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