焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「私達にもカクテル作ってください」
「はい、喜んで。……和花菜さん、またカクテル作らせてくださいね」
あまりの格好よさに何も言えずにいる間に、成宮さんは別のお客さんのもとへ行ってしまった。
そして同じようにお客さんを魅了し続ける。
「な、……え、嘘」
我に返った時には既に遅く、成宮さんと2人きりの時間は終わっていて。
長かったような、一瞬だったような。
夢、みたいだと思ってしまった。
『またカクテル作らせてくださいね』なんて、罪な人だ。
私だけじゃなくてお客さんには平等にさっきみたいな甘い台詞を口にするし、極上に美味しいカクテルを振る舞う。
分かっていても。一目惚れしそうになる。
「今度、来たら」
またお店に来た時には、もっとちゃんと会話してみたい。
淡い期待を胸に抱きながら、最後の一口を飲みほした。