焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「樹季、こんなところにいたのね」
いつき。
それは、間違いなく成宮さんの名前だ。
そうなんだ、成宮さんの名前って「樹季」っていうんだ。
こんな形で名前を知りたくはなかったけど。
「亜里沙」
成宮さんと親しげに歩いていた美人さんは、亜里沙さんっていうらしい。
「ねぇカクテル作ってよ。もう一杯目終わっちゃった。はーやーく」
細くて白い腕を成宮さんに巻きつけ、密着させる。
お店の中だからか、成宮さんがやんわりと振りほどく素振りをみせてもやめようとしない。
「分かったから。……和花菜さん、楽しんでいってくださいね」
笑顔でそう告げた後、亜里沙さんに連れられてあっという間に遠くへ行ってしまう。
待って、と手を伸ばそうとした時。
亜里沙さんは艶のある髪を靡かせながら振り返り、意味ありげな笑顔を向けられた。
『彼は私のものよ』そう主張してるみたいで。