焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
伸ばした手は虚しく空を切るだけだった。
成宮さんも、亜里沙って呼び捨てにして、敬語じゃなかったし。
どういう関係なのか気になるせいで、美味しいはずのカクテルを飲んでも味がしない。
気を紛らわせよう軽食を取りに向かう。
「何食べよう……」
数種類のチーズにカルパッチョやタルティーヌまで鮮やかな料理が並ぶ。
「このタルティーヌ、おすすめよ」
華やかな声にパッと顔を上げると、亜里沙さんがニコリと笑って私のお皿にハムがのったタルティーヌをのせた。
「あなた、ずっと私達の方見てたわよね。格好良いでしょ樹季」
いつき。彼女の口からごく自然にこぼれる名前にざわつく。
「そう、ですね。格好よくてお客さんから人気ですし」
「樹季ってばリップサービスが上手だから皆惚れちゃうわよね」