焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
……もう、帰ろう。
グラスとお皿を下げて一直線にドアを目指す。
外に出ればこの鬱々とした感情からも解放される。
そう思って、焦燥感に駆り立てられながらドアノブに手を伸ばしたら。
「っ待てよ!」
慌てた声に足がとまり、誰かに手首を掴まれた。振り向いた先には。
「……え?!瀬戸さん」
「やっぱ清水だ」
「瀬戸さん、何で」
いつもより柔らかくセットされた黒髪にお洒落なスーツ。一瞬誰か分からなかった。
それくらい会社にいる時と雰囲気が違うから。
「こっちが聞きたいよそれ。俺は常連の友達に誘われて来たんだ。なんか清水に似てる子いるなって思ってたら、急に出て行こうとするから」
「私も、前からこのお店に通っていたので」
――ちょっとでも成宮さんかもって淡い期待を抱いた私は、どうしようもない。