焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「っ、もういいわ。帰る」
「亜里沙!」
酔いが回ってふらつきながらも亜里沙さんはお店から出ようとする。
そのあとを成宮さんが追いかけていった。
「……どうしよう」
どうしよう。私はどうすれば。
意味もなく視線を彷徨わせて、亜里沙さんがバッグや上着を忘れていったことに気づく。
急いで荷物を持ち『琴美ごめん、ちょっと抜ける!』と任せて外へ出た。
「……して、じゃない!」
亜里沙さんと成宮さんの声が聞こえた方を向くと、緊迫した雰囲気だった。
思わず植木の陰に隠れてしまう。
「亜里沙、落ち着け」
「ねぇどうしてあの子なの」
亜里沙さんがうつむいて、成宮さんの服を引っ張る。
「和花菜は関係ないだろ」
「あるじゃない。和花菜ちゃんに誤解されたくなかったから、拒んだんでしょ」
「誰にだって誤解されても困る。酔った勢いだとしても」
あくまでバーテンダーとして答える成宮さん。
でも亜里沙さんは納得していないようで。