焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「ふふ、私のために見つけてくれてありがとう樹季。和花菜さんもありがとう」
「亜里沙」
「ねぇ、イヤリングつけてくれる?」
亜里沙さんは艶のある仕草で髪をみみにかけた。亜里沙さんにこんなことをされて落ちない男性は殆どいないだろう。
「……かしこまりました」
一瞬言葉をつまらせ、けれどすぐにバーテンダーの顔になりイヤリングを手にとる。
「失礼いたします」
まずはひとつめ。そして、2つめも難なくつけ終わった瞬間。
「ありがとう樹季」
「……っ」
流れるような動作で成宮さんと距離をつめて、キスしようとした--------けど。
成宮さんは手の甲を口にあてがい、亜里沙さんからのキスを拒んだ。
同時に私の方に視線を滑らせて。
それにつられるように亜里沙さんも私をじっと見つめた。
「な、によ。彼女がいるから私とはキスできないってこと?」
「業務中ですので」
「嘘言わないで。どうしてなの……なんであの子のことを」
亜里沙さんにきつく睨まれ、どうしていいか分からなくなる。