藍と未来の一つ屋根の下

小学校の頃からお互い持っている合鍵で玄関を開けたのは藍だった。


「藍ちゃーん」


リビングの扉を開けた藍を、有里華が立ち上がって迎える。


「有里華さん久しぶり」


慣れた様子で有里華に軽く会釈すると、「ばーちゃんのら差し入れ」と、藍はダイニングテーブルに大きなタッパーを3つ置いた。


「やったー！ばーちゃんのご飯！」


有里華は素直に嬉しそうな声をあげて、タッパーの蓋を開いた。


パスタサラダ、
筍の煮物、
ヒジキの煮物、
トマトソースの煮込みハンバーグ


全部、有里華と未来が大好きな、食べ慣れたてる子ばーちゃんの手料理だった。


「おいしそー！藍ちゃんも食べてきな！」

「俺は家で食ってきたからいいっす」


藍がソファーに座る未来を見ると、未来は思わず視線を逸らした。


「藍ちゃん、今日はゆっくりしてくでしょ？」