藍と未来の一つ屋根の下
「藍待って」


「待たねえ」


藍は未来の部屋着を剥ぎ取ると、首筋に歯を立てる。


今まで見たことのない藍に、未来は動揺した。


「藍、待ってお願い」


「なんで」


「部屋いこ?」


「なんで」


「だってママが…」


「帰ってこないんだろ」


「…じゃあ電気消そ?」


未来の首筋から顔を上げる藍と、仰向けに倒された未来と目が合う。


「だめ」


藍がイタズラそうに笑った。


未来が初めて見る藍の顔だった。


「ここでいいじゃん」


「ありえ…ない」


藍も男だったんだ…リビングの天井を見つめながら未来はぼんやりそんなことを考えていた。
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