藍と未来の一つ屋根の下
藍が未来の家に来たのは、
有里華が家を出て行った10分ほど後だった。


急に呼び出された藍は上下黒のスウェットのまま、顔は不機嫌だった。


「なに?」


眉間にシワを寄せた藍が未来の家のリビングのソファーにどかっと座る。


「俺、明日部活で朝早えんだけど」


「いいじゃん今日休みなんだし」


「よくねえよ」


未来はお風呂上がりのまま、ピンクとグレーのボーダーの上下の部屋着を着ている。


「紅茶淹れる」


「んで、なんの用?」


「べつに。たまにはいいじゃん」


「おまえ高校入ってからなんかあった?」


未来はマリアージュフレールの紅茶をマグカップにいれると、藍の座るソファーのサイドテーブルに置いた。


藍はそれ以上は何も言わずにマグカップを持って、ゆっくりと紅茶を啜る。


未来が藍の隣に座る。


「あのさ」


「用がないなら帰るぞ」


「今日、ママ帰ってこない」


「で?」


「別にいつものことだけど」


未来も手に持ったマグカップから紅茶を啜る。
暖かい温もりが喉から胸に染み渡る。


「おまえ…寂しいの?」
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