さよなら、Teacher
残暑厳しい東京。
帰ってきた恵は、閉め切っているアパートの窓を開け放つ。
生ぬるい風がどんよりと流れをつくる。
恵は早速、大翔に電話をかけた。
かなり長いコールのあとでやっと繋がった。
「もしもし」
「大翔?恵よ。今東京に戻って来たの」
「ふぅん」
「それで、お土産もあるし、会えないかなって思って」
「今日はムリ。明日ならいい」
「じゃ、明日。夜7時からバイトだから、夕方でもいい?」
「いいよ。じゃ」
久しぶりに聞いた大翔の声はいつものように淡々としていた。
電話が切れると部屋は静まり返る。恵は荷ほどきをしながら、孤独と戦った。
《お帰り、メグミ。帰って来るのを待ってたよ》
《…淋しかった?》
《当たり前だろ!…淋しかったよ》
そんな甘い会話をしてみたい。そして片時も離れたくないほど情熱的な恋がしたかった。
でも、大翔は、そういうキャラじゃない。
大翔。
私のこと、好き、だよね?
彼氏、だもの…ね。
これが、恋愛、なのかなぁ。
やっぱり想像とは、違うものなんだな。