寂しがり屋の月兎
凍った喉をそのままに、無言で首を左右に振る。

かなり激しく。

「ほんと? よかった! じゃあ今度から敬語はやめてね」

「えっ……え、え、は、はい……」

「『うん』」

「う、うん……」

兎田は笑みを深くする。

「じゃあ二つ目」

「う、うん……?」

「望ちゃんが描いてる漫画読ませて」

「だめです」

望ちゃん呼びにも美少年にも囚われず、食い気味で望は断った。

胸にはしっかとノートを抱きかかえている。

「えー」

兎田は寂しそうな上目遣いをしてくる。

それでもだめなものはだめだ。
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