寂しがり屋の月兎
なにやら物言いたげである。

不満そうでもある。

不貞腐れているようにも見えなくもない。

「…………」

どう反応するのが正しいのだろうか。

悩んでいると、肩口から有明が顔を上げた。

「望、時間大丈夫なの? まだある?」

「えっと、今何時?」

有明に聞いて、まだ戻らなくていいことを確認する。

「じゃあ行きましょう」

有明はどことなく決意を込めた顔をしている。
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