寂しがり屋の月兎
「楽しむわよ。文化祭。いやなことは、楽しいことで上書きするの」

「……ねえ、俺も望ちゃんと一緒にいたいんだけど」

「今日の約束はもともと私とだったもの」

あんたのことなんか知らないわよ、と有明はそっぽを向く。

望は苦笑いだ。こればかりは致し方ない。

「……心配しなくても、もう邪魔はしないわよ」

「え? なに?」

「なんでも。さ、行くわよ」

望は手を掴まれて、光の落ちる廊下に踏み出した。
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