寂しがり屋の月兎
「私も好き」

衒いなく言い切った自分を、どこか別の場所から眺める自分がいる。

これは本当に私なのかな。

いつの間にこんなこと、言えるようになったの?

──私、いつから兎田くんのこと好きだったんだろう──。

ガラス玉の瞳。

柔らかい茶色の髪。

薄い唇が小さく動いた。

「本当?」

ああきっと、ずっと前からだ。
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