寂しがり屋の月兎
「というやりとりがありまして……」

目の前に迫る麗しい顔に、保留と叫んでから数時間が経過していた。

時刻は夜の八時前後である。

自室のベッドに寝転んで、望は片耳にスマホを押し当てていた。

通話相手は望の唯一の──いや、一人目の友だちである。

『……は? なに? その男』

端末からは普段よりだいぶ低い声が聞こえていた。

『断りなさい。出会って数日でいきなりデートだなんて、常識なしにもほどがある。そんなのが許されるのは、お互い一目惚れしたか、お互いパートナーを探してるかの二択よ』
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