寂しがり屋の月兎
一瞬で険を含んだ眼差しを兎田に向け、素早く望を引き寄せる。

兎田は呆気に取られているようだった。

「えっと、望ちゃんの友だち?」

「馴れ馴れしく望を呼ばないで」

棘しかないような声音で言い返す。

兎田は目を丸くしてからにっこり笑った。

「望ちゃんをどう呼ぼうが、俺の勝手だと思うな。だって俺、望ちゃんの友だちだもん」

「調子に乗るな」

有明の声が氷点下である。

「望が可愛いからって言い寄らないでちょうだい」

「望ちゃんは可愛いけど言い寄ってなんてないよ」

「どうだか。綺麗な花には害虫が寄ってくるのよ」

「俺は庭師の職を手に入れたいものだけどね」
< 65 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop