キミの運命の人は俺じゃない
恵ちゃんとのやりとりを思いだし、私好みの顔をしたイケメンを目の前にして、
ドキドする心臓の音がやけにはっきりと聞こえる。見つめあったままの静寂した処置室。
入り口が突然開かれ私たちは弾かれたようにそちらに目をむけた。

「終わったか?みな…と…
……じゃましたか…?」

紙袋を手にした虎太朗が、苦笑いしながら私たちを交互に見た。
「いや、ちょうど縫合が終わったところだ。あとは包帯を巻いて薬を処方するだけだ」

佐久間先生は立ち上がるとガーゼと包帯を手にしゆっくりと巻き始めた。

< 26 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop