今宵、貴女の指にキスをする。

 円香の担当だった頃も、堂上には感心することが多かった。
 だが、どこかチャラいというか、軽い感じは昔から変わらないけど。

 円香は心内でそんなことを考えたが、気を取り直す。

「では、よろしくお願いします」

 ボイスレコーダーとデジカメの起動音を聞きながら、円香は今から和菓子を教えてくれる講師に頭を下げた。


< 67 / 157 >

この作品をシェア

pagetop